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コワーキングスペースを有効活用すれば、テレワークがより豊かに

<プロフィール>
松村 茂(まつむら・しげる)さん
東北芸術工科大学 デザイン工学部企画構想学科・教授。工学博士。
「自宅・東京」「大学・山形」「山荘・八ヶ岳」の3拠点で研究活動をするテレワーカーでもある。
Empowered JAPAN 実行委員長。テレワーク月間実行委員長。日本テレワーク学会特別顧問。テレワークス新フォーラム副会長、東北都市学会会長、山形県デジタルコンテンツ協議会副会長等。テレワークを推進する政府の委員を歴任。

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 インターネットがまだ一般的になる1980年代から、大学の通信ネットワークを活用して海外も含め、好きな時に好きな場所で仕事をしていたテレワークの専門家・松村茂教授に、テレワークとコワーキングスペース活用の現実と未来について語っていただきました。


----在宅勤務とテレワークは、どこか違うのでしょうか?
 一般的にはよく理解されていないかもしれませんが、在宅勤務とテレワークは全く違うものです。在宅勤務は、テレワークではありません。会社の業務環境を自宅に移しただけのものです。現在のところ同じような意味で使われることが多いのですが、明確な線引きをした方がいいと思います。
 パンデミックの今、政府などはテレワークで在宅勤務をしてほしいといっていますが、今言われている在宅勤務はテレワークの1つの形でしかありません。
 テレワークというのは、本来、人と繋がりながら好きな場所で仕事をするものです。いろいろな場所で仕事をすることで、その延長で人と会ったり、セミナーに参加したり、人と会ってアイデアもらったり、閃いたり、会社の仕事だけでなくつながりによる化学反応を目指すものです。そういうテレワークが理想だと思います。


----コワーキングスペースを有効につかうために必要なスキルとは?
 ネットワークが同じ環境にあるのなら、スキルのある人だったら相手のパソコンに侵入して、情報を得ることも可能だということを知っていますか?
 しかし、対策がない訳ではありません。侵入を防ぐ設定をきちんとしていれば、簡単に他者の侵入を許しません。そういうリテラシーをテレワーク者は持つ必要があると思います。知っているか知らないかの違いが、大きなトラブルを防ぎます。


----コワーキングスペースを使うメリットとは?
 コワーキングスペースは環境が良く、落ち着いて仕事ができるので、仕事もはかどります。プリンターやコピー機、ネット環境など、費用な設備もほとんどそろっているので、不便はありません。
 ワーカーが安心して働くことができる環境だと思います。また、コワーキングスペースが主催しているセミナーやイベントに参加することで新しい知識や視点を得ることができ、スキルアップにもつながります。違う業種で働く人との出会いも期待できますので、それぞれの仕事にプラスになる出会いもあるでしょう。
 在宅勤務になってしまうとそういうチャンスはなくなってしまいます。閉じこもることで新たな可能性を潰してしまうのです。テレワークはそういう出会いのチャンスを掴むものでもあると思います。
 コワーキングスペースは、自分の可能を広げられる場所にもなると思います。

 一人で仕事をしていると、緊張感に欠け、業務に集中できない人もいるようです。コワーキングスペースの適度に人がいる環境は、適度な緊張感を生み、集中して業務をこなせるようになるでしょう。
 在宅業務を行なっている方たちで協力して、テレビ会議システムを利用してお互いが見える環境を作り、疑似コワーキングスペースとでもいうような環境を構築して仕事をする、というケースも出てきています。やはり、他人が一緒にいるという緊張感は重要なのだと思います


----コワーキングスペースを使うデメリットとは
 広い意味ではデメリットはないと思います。
 ただ、周囲に知らない人がその場に多くいる環境が苦手だったり、話し声や音が気になる人は、コワーキングスペースでの仕事には向かないかもしれません。
 日本の会社はテレワークと言っても、在宅業務として縛ってしまう傾向にあります。時間と場所の柔軟性を大きくしてこそのテレワークではないでしょうか。好きな時間に集中できる場所で仕事をしてこそ、テレワークの良さが発揮できます。ワーカー主体で決められるのが大事です。


----これからの時代で管理者に求められる資質とは
 テレワークの環境を育てるためには、実際にテレワークで働く人だけでなく、上司の教育がきちんとされている必要があります。管理ルールをきちんと決めておいたり、安心して使えるようなハード環境も整えることはもちろんですが、上司のリーダーとしての資質が重要だと思います。
 どんな仕事でも「芯」を作ることが大事です。「芯」とは、チームづくりを指します。「芯」がなければ簡単な仕事でも思わぬ手間がかかってしまい業務目標を達成することがあります。
 例えば雑誌などでも、編集者・カメラマン・デザイナー・ライターなど、専門性の高い人たちで目的がしっかりしたチームを作れれば、その仕事は成功できます。良いチームづくりができれば「芯」となります。管理者の仕事は、そういいう「芯」となるチームを作り、作ることができたら仕事を任せる、ということが重要です。組織ではありがちな、「ホウ・レン・ソウ」を逐一させるようなことはしないで、きちんと任せられる人をリーダーにして、あとは必要に応じて相談にのるのみという状況を作りましょう。そして、成果だけをみていくことが上司の管理者としての仕事になっていくでしょう。
 目的を達成できるチームを作ることができる上司を、企業がどれだけ採用・育成できるかが、今後のビジネスの成否を分けることになります。上司は人を見る目、メンバーの過去の実績をしっかり把握し理解しているかなど、人間的に奥の深い資質を持っている人がなるべきです。
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----裁量労働的な考え方は、もっと広がった方がいい!
 テレワークは、もっとクリエイティブで裁量的になるべきだと私は考えます。働く人たちを向いた働き方の提示が必要です。
 もちろん、裁量労働制に向いていない人もいます。向いているか向いていないかを見極めることが必要です。接客が向いている人に、テレワークで事務仕事をしろと言っても無理ですよね。苦手な人に苦手なことをさせないことが重要です。
 護送船団的な考えで企業を運営する時代は終わりました。すごく能力が高い人に、面白い新規事業をバンバン作ってもらって引っ張ってもらう方が、企業にとってもいいはずです。能力のある人はもっと自由にして成長させる方がいいでしょう。
 また、企業は働き方を押し付けるのではなく、働き方の選択肢を増やしてあげることを考えるべきです。一般的に、会社の経営者層はテレワーク的な働き方に理解がありません。しかし、時代の流れを考えるのなら、経営者こそスタンスを変えて欲しいと思います。


----コワーキングスペースの現状についてご意見があれば!
 そもそもコワーキングスペースの数が、全国的に足りていないと思います。私は仕事柄コワーキングスペースが取材先になるので、全国あちこちのコワーキングスペースを訪問させていただいています。
 地方によってコワーキングスペースのあり方はさまざまですが、例えば出張に行ったサラリーマンが使いやすいように1日フリーパスプランなどを充実させるとか、もっと使いやすい工夫を考える必要はあると感じます。運営者が魅力的で印象的なコワーキングスペースは活性化できています。
 適度な規模感も重要な要素です。離れないで、くっつかないで、という微妙なスペースが大事です。狭過ぎると周囲の話につき合うことになってしまいますし、距離感があり過ぎても集中できないスペースになってしまいます。
 シェアオフィスが併設されていると、フリーランスには勉強になる機会が増えるので、理想的だと言えます。また、性能のいいプリンターが使えるなど、ある程度の施設があることも大事な要素です。最近では、3Dプリンターが使える施設もあります。
 「働く」ことと「生活」することは、今の社会ではあまり差がないものだという気がします。テレワークが普通になっていくと、働く時間数よりも、その仕事がきちんとこなせているかが重要になります。自宅でだらだら仕事をするよりも、コワーキングスペースのような場所で集中して仕事をした方が、必然的に効率は上がります。企業もテレワークの場所として、積極的にコワーキングスペースを活用していただきたいものです。