上田昌文(うえだ あきふみ)
NPO法人市民科学研究室・代表。科学技術に関連するさまざまな社会問題に注目して、多くの専門家やグループと連携しながら、
市民が必要としている研究、調査をすすめている。大阪出身。大学では生物学を専攻。英語を使った仕事(教育や翻訳)も多い。
好きなこと:子どもたちと遊ぶこと、クラシック音楽、古本屋めぐり
地球温暖化は、これからどのくらいのペースで進むのですか? だんだん温暖化が進んではいるのはわかるけれど、実際に私たちや私たちの子どもの世代にとってはどう影響するのですか?
(20代主婦 シェリーさん)
まず現状をみてみましょう。1906〜2005年の100年で地球の平均気温は0.74℃上昇しました。これを過去50年間で見ると、10年あたり 0.13℃の上昇になっていて、過去100年の上昇スピードの2倍近くになっています。日本平均でみると、ここ100年で1.06℃上昇。大都市ほど上昇は大きく、東京ではなんと3.0℃です。
今後はどなるのでしょう。21世紀の末には、温暖化に関するもっとも権威ある機関であるIPCCの第4次評価報告書(2007)では、温室効果ガスの排出量が最も少なく抑えられた場合でも平均1.8℃(予測の幅は1.1〜2.9℃)の上昇、最も多い場合は4.0℃ (予測の幅は2.4〜6.4℃)の上昇と予測しています。3.5℃以上上昇すれば、地球の至るところで相当数の動植物が環境に適応できず絶滅する恐れがあります。
2005年1月に発表された国立環境研究所の報告によると、日本での影響について次のように予測しています。
地球温暖化が進むと日本はどうなる?
- 気候
2071年〜2100年の日本の夏(6〜8月)は、100年前の1971年〜2000年に比べて日平均気温は4.2℃、日最高気温は4.4℃上昇する。真夏日は70日程度増加する。降水量は19%増加し、100mm以上の豪雨日数も平均的に増加する。
生態系
動植物等の生態系への影響の範囲や程度が、ともに大きくなる。3.6℃の気温上昇によって、ブナの生息エリアが大幅に減少する。- 市民生活への影響
地球温暖化に一部都市化の影響が加わり、熱中症の患者が増加したり、大気汚染や水質汚染などほかの環境問題が増える。3℃の気温上昇によってスキー客が30%減少する。気温の上昇による、家庭やオフィス、商業施設などでの冷暖房の需要が変化する。
今、ヨーロッパ諸国が共通の目標として掲げ、世界から注目されているのが「地球の気温上昇を工業化以前に比べて2℃を超えないようにする」こと。これを超えるようなことになると、温暖化を抑制する術がなくなり、社会や生態系に壊滅的な被害が出るからです。今のままでいけば、2℃を超えるのは、おそらく2026年〜2060年の間だろう、と言う科学者もいます。もうすでに私たち
の生活にいろいろな影響が出始めていますが、子どもたちの世代はさらに危機的な状況に直面するでしょう。子どもたちのことを考えるなら、まさに“待ったナシ”の取り組みが求められるのです。













