マムコミュニティトップ主婦するエコライフ>エコQ&A Vol3.洗剤で油を分解 するのは まず不可能

エコライフ

質問油を分解するという洗剤があります。
それに「ヤシノミ洗剤」は、自然に戻るから流しても大丈夫と聞いたことがあるのですが。(20代 主婦 ももりんさん)

洗剤で油を分解するのはまず不可能

上田先生からの回答洗濯や食器洗いやお風呂で、油分を食器や身体から分離して洗い流すことと、油を分解して微生物が自然に取り込こめるようにすることとは、根本的に違う話です。
前者は、洗剤中の界面活性成分によって、油と水をある程度混じりやすくすることによって、油を分離させる作用です。油分自体が分解されるわけではありませんし、洗剤の中の油脂成分や界面活性成分も環境中ですぐには分解しないものがあります。したがって、油分はできるだけ前もって拭き取るなり、廃油処理剤を使って固めて「燃えるゴミ」として出してください。
油分を分解する技術は簡単ではありませんから、「加えるだけで分解できる」という宣伝文句の洗剤があるとすれば、かなり怪しい話だと考えるべきでしょう。食用油と混ぜて「洗い流せる」ことを売りにした油処理剤も売り出されていますが、どれも宣伝文句とは裏腹に、油は分解されず、洗い流すことで環境に負荷をかける恐れがあることが、東京都消費生活総合センターの商品テストで判明しています。

「ヤシノミ洗剤」が自然に戻るという話も、上記の説明の通り間違いと言えます。洗剤には油を分解する能力はないし、天然素材(この場合はヤシノミの油脂)を用いた洗剤だからそのような効果が出るということも、当然ありません。こうした誤解のもとは「天然成分だから安全で環境にやさしい」というイメージが流布していることにあるのでしょう。

合成洗剤は環境にNO!

洗剤には大きく分けて石鹸(=界面活性剤は脂肪酸ナトリウムと脂肪酸カリウムだけ)と合成洗剤(=合成界面活性剤を含む)の2種があり、合成界面活性剤はこれまで主に石油から作らてきました。石鹸は以前は自然に生息するヤシ油(ココヤシから採れる油)や牛脂から作っていたものが、近年では大規模プランテーションで栽培されるアブラヤシから採れるパーム油を原料にしたものに変わってきました。
優子現在、洗剤やシャンプーとして売られている“天然ヤシの実の洗剤”もパーム油を使っているのですが、しかし石鹸とは別物で、商品の表示を見れば明らかなように、パーム油を原料にして作った合成界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)や脂肪酸アルカノールアミド(DA))を含む、れっきとした合成洗剤です。
合成界面活性剤は、できるだけ使用を控えめにするにこしたことはありません。それが、“環境に優しい天然素材”のうたい文句のもとで、消費者に錯覚を起こさせ、結果としてたくさん使ってしまうことになるとすれば、大いに問題だと言えるでしょう。

一人あたり年間10kg(1リットルペットボトル約10本分)もの合成洗剤を下水に流している現実をもっと重く受けとめなければならないでしょう。

上田昌文(うえだ あきふみ)

上田先生NPO法人市民科学研究室・代表。科学技術に関連するさまざまな社会問題に注目して、多くの専門家やグループと連携しながら、市民が必要としている研究、調査をすすめている。大阪出身。大学では生物学を専攻。英語を使った仕事(教育や翻訳)も多い。
好きなこと:子どもたちと遊ぶこと、クラシック音楽、古本屋めぐり