届かなかったラヴレター
応募作品紹介~とら太
切ない気持ちや感謝の気持ち、大好きだったあの人への想い・・・毎年、大切な人への思いを綴ったラヴレターを募集している「届かなかったラヴレター」。これまでご応募いただいた「届かなかったラヴレター」をご紹介します。
私の祖父は戦争で亡くなった。
祖母と結婚してまもなく戦争に行った祖父。
祖母のお腹には私の母親がいた。
戦争中何度か面会があり祖母はどんなに遠方であっても祖父に会いに行ったそうだ。
祖父は亡くなる前の最後の面会の時、
祖母に「これを...」と言って照れながら何かを渡した。
それは赤ちゃんに着せる産着だった。
「男の子でも女の子でも良いように...」と男児用・女児用の色の産着だった。
結局祖父は我が子を一度も見る事なく亡くなった。
自分の買った産着を着た我が子をどんなに抱いてみたかった事だろう。
その話を私が母から聞いた時あまりに切なく涙がでた。
でも母はいつも嬉しそうに「私の父は優しい人だったのよ!」と話しをする。
紙面に残った「ラブレター」ではないが、祖父が残した愛にあふれた言葉。
娘である母は一度も会った事のない父をその一言で愛し続けている。
「届かなかったラヴレター」次回の募集についてはキャリア・マムサイトやメルマガでお知らせします。 過去の受賞作品はこちらでご覧いただけます。