届かなかったラヴレター
2016年今井雅子賞～ウメノマゴ さん
切ない気持ちや感謝の気持ち、大好きだったあの人への想い・・・毎年、大切な人への思いを綴ったラヴレターを募集している「届かなかったラヴレター」。これまでご応募いただいた「届かなかったラヴレター」をご紹介します。
「芸人になる。」反対する母の横で黙ってテレビを見ていた父。
短気で人付き合いが苦手でお笑い番組が嫌い。
いつからか父との間に距離が生まれ、面と向かってお父さんと呼べなくなった。
脳梗塞で倒れた父。売れる事が親孝行と思い込んだ。結婚も孫の顔も売れてから。
最後は介護施設で息を引き取った。
何も出来なかった。何一つ喜ばせてあげれなかった。
後日、職員の方から頂いた父との思い出のメッセージ。
「いつも冗談を言って笑わせてくれました。」
「息子さんが出る番組を楽しみに見てました。」
父が冗談？お笑い番組嫌いやろ？
仕事の事なんて聞かれた事ない・・聞きたかったん？ 聞く事すらさせてあげれなかった。
お父さんが逝って、半年。
まだお笑い続けてます。でも、売れる事だけが親孝行とはもう思ってません。
長い間お疲れ様。
追伸 昔、車椅子に蟻が登って来たのを見て、お父さんが言った「怠けもんの蟻やな。」
あれ、いい冗談やな。
「届かなかったラヴレター」次回の募集についてはキャリア・マムサイトやメルマガでお知らせします。 過去の受賞作品はこちらでご覧いただけます。
