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届かなかったラヴレター

雪の玉

切ない気持ちや感謝の気持ち、大好きだったあの人への想い・・・毎年、大切な人への思いを綴ったラヴレターを募集している「届かなかったラヴレター」。これまでご応募いただいた「届かなかったラヴレター」をご紹介します。



   『雪あかり』
 長い坂道をひたすら歩く。
雪が舞い容赦なくコートに降り積もる。
街灯はすっかり雪化粧、ほのかな灯が私の足下を照らす。
しばらく歩くとなにやら踏切らしき標識が見えてきた。
よく見るとそこは開拓時代の名残りか、
幾世の世に伝える手宮線の跡だった。
このレールの上を走る列車、
そう弁慶号の汽笛が今もなつかしく
雪深くこだまするように聞こえてくる。
私は坂道から横にそれ、手宮線路を歩く。
両側に雪あかりが無数に並べられ、
北国の温もりを教えているようだ。
氷で作られた無数の容器の中には、
ローソクが立てられ、
灯が揺らぐ幻想の世界へと人々を招く。
小樽運河に並ぶガス灯がかろうじて、
あたりの石造り倉庫を浮かびたたせている。
なぜか、大漁ニシンの歌が聞こえてきそうな冬のある日。
小樽に咲いた静かな雪世界。私は今夜も君を待っている。
必ず会えることを信じて雪あかりの小樽で待っている。

「届かなかったラヴレター」次回の募集についてはキャリア・マムサイトやメルマガでお知らせします。 過去の受賞作品はこちらでご覧いただけます。

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