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教えて!ごとう先生

模試の成績を上げたい

子どもの勉強で頭を抱えているママたちへ。長年子どもたちを指導しているごとう先生が、すっきり解決してくれます!

後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧

~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。

Q. 模試の成績を上げたい

20160622.png 高校入学がある、都内の中堅中高一貫校に通う中学3年生の息子がいます。 息子はまじめなタイプで、いつも余裕をもって登校し、部活(バスケットボール部です)も休まず一生懸命活動し、定期テストの成績もいつも上位です。が、悩みの種は模試の成績。定着していないのか応用がきかないのかはわかりませんが、外部模試の結果が学年で中位以下なのです。高校からは都立トップ校を併願していた優秀な層が入学してきますし、中学のうちに少しでも実力をつけさせたいと思っています。大学受験で選択肢の少ない推薦枠を狙うのもありかもしれませんが、そこに頼るのは危険すぎますし......。残りの中学生活、そして高校に進んで、外部模試に対応できる実力をつけるにはどうしたらいいのでしょうか。

(HN:こまどり)

A.希望校の入試に特化した学習を

コツコツ型の子は定期テストが得意

 まず大前提として息子さんはとてもがんばっていらっしゃると思います。「余裕をもって登校」「部活も休まず」「定期テストもいつも上位」、多くの中学生を持つ親がわが子にこうあってほしいと思う理想像でもある。持って生まれた気質に加え環境のよさ、そして恵まれた対人関係(それらを引き寄せたのも本人の素直な性格によるものが大きいでしょうが)などによって可能になったことでしょうが、とにかく立派のひと言。おそらく息子さんは学業においても100%に近い実力を発揮できていることでしょう。
 さてその上で模試の成績が今ひとつとのお話。はたから見れば自慢や嫌味にとられても仕方のない悩みですが、こまどりさんがこの点に悩まれるのは自然なこと。コツコツ型の子が模試を苦手とするのは必然の帰結だからです。
 コツコツ型の子はそのテストの範囲が狭ければ狭いほど高得点を取ることができます。コツコツ型の子にとってはやったかどうかが重要なポイント。範囲が狭いテストでは多くがやったことからの出題になります。ゆえにコツコツ型の子は範囲がしっかり決まっている定期テストは得意なのです。

入試では推薦を利用するといい

 裏を返せば、範囲が広くなればなるほど、コツコツ型の子は苦戦します。出題範囲も問題形式もやったことではカバーできなくなる。こうなってくると普段はなまけ者でもセンスを備えているような子たちが実力を発揮しやすくなるわけです。「俺は全力出してないだけ」的な子が数字を出しやすいのも模試ですね。
 入試制度というのはよく考えられていて、コツコツやれる子には内申重視や推薦が、雑ではあるがセンスや高い潜在能力のある子は当日得点重視の一般受験でそれぞれカバー、フォローするようにできています。向いている方の制度を利用するに越したことはない。こまどりさんの息子さんの場合は、おそらく推薦が圧倒的に向いていて、推薦を利用したほうが彼の持ち味がアドバンテージとなりやすいでしょう。

もっと上のレベルを望んでいるのなら...

 というわけで一応の結論としては「推薦の利用を前提にして考えましょう」ということになります。ここからは推測でしかありませんが、どうやらこまどりさんご自身は、より厳しいレベルの大学への進学をお望みのようですね。あえて厳しい言い方をすれば現在の模試の成績には不相応なレベル。特定の大学を決め打ちしているとするならば、中堅校への指定校枠は極めて限られていると予想できますし、そうなると校内で現状上位の息子さんであっても枠を得るのは難しいのも納得がいく。ゆえになんとかして模試でも高い成績が取れるようにしたい、とこういうことではないでしょうか。でなければ日々しっかり学校生活に取り組み成果もあげていて、推薦でも極端な高望みをしなければかなり期待できる息子さんの大学受験に不安を感じられる理由はないと思うのですがいかがでしょう。

目標に特化した学習をするのも手

 というわけで、大学は決め打ちで現状推薦枠に入ることは難しいという条件であるならばということで、あらためて対策を考えます。まず真っ先に思い浮かぶのは学校学部学科に特化した学習の開始です。これは過去問を参照することで可能です。ただし、もしこれを始めるとなると充実した部活動や定期テストでの高得点は期待できなくなります。大学受験においては学校で習うことと出題されることは必ずしも一致しません。科目どころか取り組む単元すら絞り込むことになるわけで、対象外となった科目の担当の先生からは嫌味のひとつも言われるようになるかもしれません。大学受験に特化した1年を過ごすことのできる高卒生に対して現役生には圧倒的に時間が足りない。物量に正攻法で挑んでは勝ち目はない。ゆえに極端に効率を重視する必要が出てくるわけで、その過程において犠牲にせざるをえないものも多く、中には人生で今しか経験できないことも含まれるでしょう。

長所を活かした道も選択肢に入れて

 はたしてそれが正解なのか、ということです。これがよさを持っていない子ならわかります。が、こまどりさんの息子さんの場合はグローバル・スタンダードではいざしらず、日本的な価値観においてはまだ十分に評価されているコツコツ物事に対峙できるという大きな長所をお持ちです。しかもその長所を活かせる入試システムも存在しています(ただし学校の決め打ちはできませんが)。数十年前ならともかく今の時代、ここを出ればまず安心なんていう大学は存在しない。司法試験合格者や医師免許保持者でさえ世襲でなければ(時として世襲であってさえも)ブラックな労働条件を強いられている時代。ならば目標を決め打ちし逆算してルートを検索するのではなく、長所を活かした道筋を探し見極めていき、それを進んでいくという選択肢もあると思うのです。
 長くなりましたが後半はあくまで私の勝手な推測を前提にしたアドバイスに過ぎません。まとめましょう。せっかく推薦に向いているのだから推薦をねらってこれからも学業に部活に大いに積極的に向き合ってくださいと。その上で模試の成績が必要ならば、目標を分析し特化した学習をスタートしましょうと。ただし時間が限られていますから、それを始める場合、ある程度犠牲にするものはでてきますよと。あとは価値観や教育方針の問題です。まあいろいろ申し上げましたが、中高一貫とはいえ、高校課程になるといろいろな変化も訪れます。そういったものが息子さんに劇的な変化をもたらすこともあるわけで、これからも息子さんをあたたかく見守ってあげてください。

回答は質問いただいた文面から推測できる範囲でアドバイスさせていただいたものです。 したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。 ・・・後藤 武士

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