教えて!ごとう先生
努力しない娘に努力してもらいたい
子どもの勉強で頭を抱えているママたちへ。長年子どもたちを指導しているごとう先生が、すっきり解決してくれます!
後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧
~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。
Q. 努力しない娘に努力してもらいたい
中学1年生になった娘は昔から努力をしません。小学1年生からピアノを習っていますが、発表会では練習をしないまま本番を迎え、できがあまりよくなくて終了後に落ち込むということを毎年くり返しています。親から見ても、やればできる子だと思いますし、まわりの先生がたからもよく言われます。でも、努力する姿を見られるのが嫌らしく、今まで練習や勉強を家でしたことがありません。もう中学生なので、この先の高校や大学受験のためには、今からがんばらないといけないと思うのですが、さっぱりです。部活は、帰宅部に近い、ゆるいところですので、時間はたっぷりあります。娘に努力させる方法を教えてください。
(HN:京ちゃん)
A.今日から意識を変えましょう
人を変えるのは難しい
「風邪の治療薬を開発できたらノーベル賞ものだ」なんてこと、聞いたことある人も多いことでしょう。今回のご質問に対する回答はまさにそれ。「努力できるようにする方法」なんてものがもしあれば、ノーベル賞は該当部門がないので受賞は難しいですが、世紀の大発見となることは間違いないでしょう。
というわけで結論は「そんな方法ありません」となります。ゆえに回答も不可能だと。いや、もっともらしいことはいくらでも言えるんです。目的意識を持ちなさいとか、おカネやモノでなくていいからちょっとしたごほうびを与えましょうとか、人生設計やキャリアプランニングをしてみましょうとか、逆にペナルティを課しましょうとか。でもね、それらは結局対処療法でかつ一時的な効能しか期待できません。本格的にどうにかしたいのなら、根本から意識を変えないと。
でも人はそう簡単には変わりません。じゃあ逆に変わるときってどんなときか、それは強い恐怖か強い希望にリンクしているときです、それも目に見える形で。で、選ぶならやっぱり後者で行きたいですよね。しかし困ったことに後者の場合はつながりが見えにくい。直近ならある程度推測できるけれど将来のメリットとなるとなかなか。そんなわけでお決まりのあこがれの先輩だとか、高校見学だとか、そんなところにおちつくわけです。
親がまず意識を変えて
ただ、今回のケースではそれ以前に意識を切り替えることを推奨したい点があります。娘さんじゃなくて京ちゃんに。できれば嫌われたくないけれど、嫌われてしまうのを覚悟でちょっと厳しいこといいますよ。
「やればできると思っているうちはダメ」
です。
公立中学校レベルの勉強やプロ予備軍でないレベルの習い事に「やればできる」なんて言っていたらあまり期待できない。実際はやれているかやれてないかだけですよ。数年前に『俺はまだ本気出してないだけ』なんて映画がちょっとだけはやりましたが、やればできるというのは、要はそういうことです。で、昔と違って今は本当に勝負のできる年齢が下がってきています。政治家なんて以前は一般の職業である程度成功を収めた人が進む職業だったのに、今や20代30代からならないと間に合わないようになってしまいました。スポーツも芸能もそうです、低年齢化がすごい勢いで進んでいる。従来型のステップアップが有効な就職に際し学歴が活かせるような職業でさえ、大学だけではなく出身高校をみられるようになったり、さらに中高一貫が進んでいたりすることもあって、やっぱり低年齢化が進んでいるのは間違いありません。
そもそもやれるかやれないかはとても大きな違いです。あらゆる才能のうち最高かつ成功に不可欠なものはやれるという才能であると言っても過言ではないでしょう。こんなことはあまり認めたくはありませんが、これはやるべき年齢で勝負できずやるべきときにやれなかった私自身の後悔でもあり反省でもあります。
親が変われば子も変わる
まずは意識を改革しましょう。可能性に逃げ道を求めるのは、やめましょう(もし娘さんが精神的に弱いようであれば、それも必要ですが、質問文から拝見するにそうした子ではないように思います)。ちょうど前回のエッセイにも書きましたが、エントリーシートが書けない子はどれだけ才能があってもエントリーにすら行きつきません。エントリーされなければ何も始まりません。人に認めてもらうことの第一歩は悪くてもいいから結果を残すこと、そして可能性ではなくその結果と向き合うようにすることです。
おそらく京ちゃんにはそれが可能だと思います。そして京ちゃんの意識が変わったことがわかれば娘さんの意識も自ずと変わってくることでしょう。明日と言わず今日から意識を変えましょう。
回答は質問いただいた文面から推測できる範囲でアドバイスさせていただいたものです。 したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。 ・・・後藤 武士