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教えて!ごとう先生

苦手な国語の克服方法は?

子どもの勉強で頭を抱えているママたちへ。長年子どもたちを指導しているごとう先生が、すっきり解決してくれます!

後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧

~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。

qa071107.gif中学1年の息子の2学期中間テストが終わりましたが、得意教科と不得意教科の結果が、まったく別人のように違うのです。
得意な数学は高得点、反対に、苦手な国語は平均点にも達していません。見ていると、苦手科目の試験前の勉強は、ほとんどやっていないようです。
苦手科目を克服する方法はないでしょうか。アドバイスお願いします!

(HN:もみじ)

文章を客観的に把握する訓練を!

国語の克服法というのは、しっかりお話しすると、単行本数冊分になってしまいます。今回は、国語という科目が苦手な人にとっては、なぜ難しいのか、本当はどういう科目なのか、そして具体的に克服するには、どこから手をつけたらよいのか、について、お話させていただきます。
●国語は暗記や知識でどうにかなる科目ではない
 もみじさん、こんにちは。まずは数学がお得意ということで、よかったですね。数学というのは、英語とともに積み重ね系科目で、苦手科目としてしまった場合に、"もの"にするのに、とても時間がかかってしまう科目です。それが得意科目ならば、かなりアドバンテージをもっている、ということです。その点については、とりあえずホッとひと息ついておきましょう。
  さてその上で、苦手科目の国語についてお話させていただきます。国語というのは不思議な科目で、かけた時間と成果が必ずしも比例しません。もっとはっきり言ってしまうと、 どれだけやろうが、伸びないときはまったく伸びない科目です (漢字や四字熟語、文法、文学史など知識分野は例外です)。
 しかも独学がかなり難しく、苦手科目にしてしまうと、なかなか大変な科目ではあります。反面、得意な子にとっては、一部難関国私立高校の入試問題を除いては、特に対策しなくても、取れてしまう科目でもあります。学年による難易度の差も、実はほとんど意味がありません。小学校高学年でもできる子であれば、大学入試の問題でも解けてしまうでしょうし、逆に高3あたりでも極端に苦手な子は、小6あたりの問題でも手こずるのが国語です。
 では、なぜそんな科目なのかといいますと、ひと言で言えば、 暗記や知識でどうにかなる科目ではないからです。もちろん、最低限の漢字や語句すら理解していなければお話になりませんが、それができているからといって、できるわけでもないのが国語なんですね。その証拠に、ほとんどの中学生は、日本語の読み書きは普通にできます。できなければ、生活していくのが大変ですよね。にもかかわらず、その日本語で書いてあることを読み取る問題になると、手も足も出なくなってしまいます。いったいこれはどういうことなのでしょうか。

●文章を客観的に把握する訓練を
 実はそこには、 客観性という問題があるのです。普段使う日本語は、知っている相手とのやり取りに用いられます。「見た?」「うん 見た」なんて会話、聴いたことありますよね。これ本来なら、意味を成しません。だって「誰が」見たのか? 「何を」見たのか? など、文に必要な要素が、ことごとく欠けているからです。にもかかわらず、成立するのは、お互いが省略されている部分を推測できて、しかもそれが正しい推測になるだけの前提条件があるからなんですね。それはお互いの性格を知っていたり、好みがわかっていたり、同じ場所にいて同じものを見ていたり、というシチュエーションであったりもします。こういう会話は、かなり楽なのです。そして中学生というのは、接することのできる他人の数が、極めて限られています。また接することのできる他人の多くは、同じ集団に属していることがほとんどです(学校、家庭、クラブなど)。
 そうなると、解釈が多く存在するような、紛らわしい言葉や文脈の使い分けであるとか、相手が言ったこと、あるいは、書かれている文から客観的に言えることはどこまでか、などといった難しいことは、考えなくてもすんでしまうわけです(余談ですが、中学生のネット掲示板や匿名チャット、ブログ炎上などの問題が多い原因は、このあたりにも起因しています。自分を知らない人に対して、言葉を使って、客観的に物事や思いを伝えるトレーニングができていないために、書いたほうと読むほうで、受け止め方が違ってしまうことが多くなるんですね)。
 "もの"が数式やアルファベットなど、普段日常生活で使っていないものなら、かまえて学んだり使ったりできますが、日常生活で無意識に用いている日本語だけに、より厄介なんですね。実は、普段使っている日本語と同じであっても、言葉が意味している範囲がまるで違っていたり、カバーできる広さや、その言葉が持つイメージなども、自分と他人とでは当然ずれる部分ができるわけです。したがって国語を得意科目にするには、なんといっても、 文章を客観的に把握する訓練をしなければなりません。文字は記号と同じなんですね。「とは」という言葉には「=」と同じ意味があります。「だから」という言葉があるからには、その前後には因果関係が存在していなくてはなりません。さらに言うと、「だから」の前が原因理由にあたる部分であり、後ろが結果にあたる部分になります。そういった言葉のひとつひとつが持つルール、そして文章のルールを学ぶ必要があるわけです。特に、 名詞以外の接続詞であるとか、副詞であるとか、あるいは助詞、助動詞、これらの意味をしっかり学び取らないと、客観的な読解力は身につきません

●『最強最後の学習法』を参考に
 では、何を使って、どのように学んだら効果的か、という問題です。手前みそになってしまいますが、私の著書 『最強最後の学習法』の第1章をお買い上げいただかなくても結構なので、お読みいただきたいと思います。その上で、さらに教材が必要であれば、これも私の著書ですが『これ一冊で必ず国語読解力がつく本』 を、ご自分の手元においていただきたいと思います。読みながら大切だと思ったところは、ラインを引いて問題を解き、答え合わせをして、解説を読んで仕上げてみてください。数学が得意なお子さんでしたら、2週間ほどで仕上がると思います。もっと基本的なところから、ということでしたら『やさしい国語読解力』もおすすめです。こちらは辞書代わりにも、使っていただけると思います。あらゆる参考書は日本語で書かれています。独学というのは、参考書やテキスト教科書を使って学ぶこと、だから国語を独学で何とかするのは、とても大変なんですね。しかもそれだけに、うまく指導できる先生が非常に少なく、たいていは感想の述べ合いだけで、さらにひどいときには、先生が自分の意見だけお話して終わってしまいます。また、せいぜい漢字や語句などの暗記分野に力を入れて、乗り切ろうとします。日本語で日本語を説明することはとても大変なことですから、そんな先生が多いのも仕方のないことではあるのですが、学ぶ側にとっては、厳しい状況であると思います。でも国語の読解力は一度身につけたら、一生使えます。学年の隔たりも関係ないですし、この機会にしっかり克服できるといいですね。

回答は質問いただいた文面から推測できる範囲でアドバイスさせていただいたものです。 したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。 ・・・後藤 武士

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