• ようこそ ゲストさん
  1. HOME
  2. ライフスタイル
  3. 教えて!ごとう先生

教えて!ごとう先生

問題を解くスピードが遅い

子どもの勉強で頭を抱えているママたちへ。長年子どもたちを指導しているごとう先生が、すっきり解決してくれます!

後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧

~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。

025334.gifこんにちは。他の方からの質問の回答がとても的確でいらしたので、質問させていただきました。
小6男子の受験生がいます。問題を解くスピードがとても遅く困っています。
運動神経は良いのですが、小さい時から何をするにもゆっくりと行なっていました。夏休み前には難関校もこれから狙っていけるような成績の兆しがあったのですが、夏明けより問題をゆっくり解くクセが顕著に出るようになり、9月の試験では半分しか解いてきませんでした(解いたところは、ほぼ当たっています)。わからない問題があると、ずっと考え込んでしまって先に進みません。
自宅で解きなおすと8割はできているので、とても残念に思います。
試験中に解かないと意味がないと何度も説明しますが、心底納得していないのか、多少しかスピードアップしません。塾の先生も様子を見ている状況で、私もどうしたらよいものか思案中です。アドバイスいただけましたら幸いです。

(HN:family)


自分が解ける問題を素早く見つける訓練を


●スピードを取るか、正答率を取るか

 歯がゆい思いをされているようですね。「これだけの正答率なら、解きさえすれば...スピードさえ上がれば...」親御さんのみならず指導者でも、似たようなタイプの子に持つ思いは同じです。が、時期が時期ですので、あえて率直に厳しく申し上げます。出ている数字が結果です。結果は能力を反映しています。まず、そこを受け入れるところから始めましょう。
 解くスピードというのは、能力のすべてではありませんが、重要な要素のひとつです。そして、正答率もまた同じです。一般的には、解くのにかけるスピードと正答率は反比例とは言わないまでも逆に動く指標です。すなわち、時間に余裕があれば正答率は上がり、素早く解かねばならないときはミスの率が上がります
 たとえるなら、高級料理店の晩餐や有名ホテルのディナーとファストフード。食材選びの段階から手間暇がかかれば、美味しいものがつくれるかもしれない。でもそのかわりに、高価になるばかりか、時間に余裕のあるときでないと注文できない。一方のファストフードは、確かに有名高級店に比べれば味は劣るかもしれない。けれど、食事自体に楽しみではなく機能を期待するのなら、安くて早く味も想定できるということは、それ自体がひとつの価値となる。どちらを求めるかは人ぞれぞれですし、同じ人でも日によって違うでしょう。
 昨今話題のものづくりでもそうですね。日本の職人さんが営まれる工房などはクオリティが極めて高いけれど、納期やロットやコストには妥協できない部分がある。一方で、つい最近まで途上国と呼ばれていた地域の工場などは、コストもロットも納期も言いなりになってくれるかもしれないけれど、ある程度の不良率も覚悟せねばならない。これまたどちらに重きをおくかはそのときの状況次第となるでしょう。

●型を崩す必要アリだけど、時間がかかる
 話を息子さんに戻します。息子さんの解き方というのは、「遅いけれど丁寧な仕事」と表現できます。そう考えると、十分に価値はある。これを、「丁寧だけど遅い」と捉えてしまっては、嘆くしかなくなる。理想はもちろん「丁寧でハヤい」なのだけれど、それはもうひとつどころか数個上の次元のスキル。もちろん時間と適切な指導とそれに応じた努力があれば、そこに到達することは不可能ではないけれど、一度型を崩す必要が出てきます。欲を言えば、1年、少なくとも3ヶ月あれば、リスクを承知の上で、この一度型を崩す試みをしてみるのも悪い賭けではありませんが、1ヶ月そこそことなると、型が崩れた状態で本番を迎える危険性が高い。「最上位以外なら公立でいい」と本人も親も思っていらっしゃるならまだしも、そうでなければおすすめできるものではありません。フォームの改善というのは、時間とリスクを伴うものです。
●効率的な順番で問題を解こう
 とはいえ、現状を受け入れても、なおできる試みはあります。それは、息子さんの解き方にあった学校を受けること。設問数は少ないが問題のレベルは高いような入試問題を課す学校ですね。これなら、息子さんの良さが評価されやすいといえるでしょう。もっとも、行きたい学校と傾向がぴったり重なる可能性も高いものではない。そこで次善の策として、「せめて解く順番に関しては妥協する」ようにする。familyさんがマネージャーとなり、できるだけ多くの異なるタイプの問題に触れさせ、息子さんの得手不得手を把握する。そして、問題ごとの配点を考慮した上で、本人にも得手不得手を自覚させ、最初の1分で全体を見渡させる(読んではいけません、見るだけです)ことを指導し、効率的な順番で解くことを説く。これにも抵抗はあるかもしれませんが、こうしない限り受からないのですから、受け入れてくれるのではないでしょうか。そもそもそれでも受け入れられないというのであれば、そのこだわりはもはや趣味の領域であり、そのような性向で入学しても、授業の進度についていけなくなるのが目に見えています。公立か面倒見の良さをうたう私立へ進学した方が良い結果につながるでしょう。  中学受験は、満点を目指すものではありません。8割だって高過ぎるくらい。学校によりけりですが、7割前後が合格ライン。6割5分くらいがボーダーの学校が多いでしょう。7割を確実にゲットするために、どの3割を捨てるか、これもまた戦略です。いや、こう言い換えましょう。いかに自分と相性の良い7割を見つけ速やかに取り組むことができるか、満点を目指し5割以下の結果にしか出せないのは完璧主義でも何でもない。少なくとも、中学受験において真の完璧主義とは、確実に7割を抑えられるようにすること。息子さんもきっとわかってくれることでしょう。
回答は質問いただいた文面から推測できる範囲でアドバイスさせていただいたものです。 したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。 ・・・後藤 武士

«前のページへ教えて!ごとう先生TOPへ次のページへ»

ページの先頭へ

この記事が気に入ったら「応援する」ボタンをクリック

応援する