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教えて!ごとう先生

中学での部活

子どもの勉強で頭を抱えているママたちへ。長年子どもたちを指導しているごとう先生が、すっきり解決してくれます!

後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧

~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。

Q. 中学での部活

20160622.png 4月から中学生になる息子を持つ母です。上にお子さんがいるママ友たちが、中学校では高校受験のために、ゆるい部活か、あるいは部活をやらないという選択をさせていると聞きました。息子は小1からサッカーをやっていましたが、小5のときに教室がなくなってしまい、それ以降はとくに何もしていません。だからか、息子は中学校での部活を楽しみにしているのですが、勉強ができるわけではないので、できれば中1から塾でコツコツと努力をしてほしいと思っています。どのように折り合いをつけるといいのか、また、男子は短期集中できるから中3で部活が終わってからでも伸びると聞きましたが、そこに期待してしまってもいいのか、教えてください。

(HN:まーちゃん)

A.両立できるかどうかリサーチして

進学先の中学校の部のタイプによる

 難問ですねえ。サッカー部の場合、2種類に分かれるんですよ。とんでもなく自由がきかない場合と学校教育法に定められた部活動の目的にそった形で活動が行なわれる部活動と。カギは地元のクラブチームの存在なんですね。強く熱心なクラブチームがあるとサッカー少年はそこに集まります。サッカーの場合、クラブで試合に出場するときは中学校のサッカー部の代表としての公式戦の出場はできませんから、そうした地域では部活のほうは比較的ゆるくなることがままあります。もっとも顧問の先生がJリーガーになれなくて体育教師系の人だと逆にムキになってクラブチームを勝手にライバル視することもあって、そんな部活はかなり大変です。大して強くもないのに毎週遠征を組んだりします。道具と試合環境だけはプロ顔負けなんてサッカー部のなんと多いことか。進学先の中学校のサッカー部がどちらのタイプなのかによって答えはまったく変わってくるんですね。

学習面では中1の1学期後半が重要

 小学校の段階で「勉強ができるわけではない」となると、学習面ではかなり苦労されると思います。カギは英語と数学で置いていかれないかどうか、特に1年1学期後半が重要です。英語の場合は1年の1学期前半はやたらと簡単です。ただ後半になるといきなり3単現だの代名詞の格変化などが始まりますから、いきなり難しくなります。文法用語を用いないでやさしくみせていますが、それだけに余計に質が悪い。一方で数学はいきなり最初から重要事項のオンパレードです。まあ正の数負の数あたりはさほど苦労はしませんが、早ければ連休あけには登場する文字と式は、小学校における分数の概念と同様、これが理解できるかどうかでこの先3年間の数学の授業が楽しいものになるか、パラパラ漫画を描いて時間をつぶす苦痛な時間になるかが決まります。

英語と数学がどうにかなれば両立も可能

 幸い、今はサッカーの活動をなさっていないということですから、入学前のこの時期に先取りに取り組んでみるのはどうでしょう。その過程でそもそも分数が理解できていないとか、四則演算がスムーズでないとわかれば、その時点で復習することもできます。その2科目さえどうにかこうにかでもついていけるようならば、部活との両立も不可能ではないと思います。ただし中学校の勉強というのは元々できる子以外にとっては、よほど間違ったやり方をしていない限り、結局かけた時間がそのまま成績に反映されるものですから。楽な部活をやっている子に比べ、若干のハンディキャップを背負うことは覚悟しておいてください。特に本来はあってはならないことですが、定期試験1週間前でも平気で部活を行う部とかだと、その差は致命的なものになります。
 熱心な部に入るのなら塾もある程度限られてきます。一斉指導型の場合はきちんと授業に参加できる時間帯のクラスでないと意味がありません。もしそういうクラスが見つからなければ個別指導型がよいでしょう。

部活と勉強では必要な体力が違う

 最後に「男子は短期集中できるから中3で部活が終わってからでも伸びると聞きましたが、そこに期待してしまってもいいのか」というご質問ですが、これに関しての答えは明白です。NOの一語で決まりです。特に拘束時間の長い集団競技の部活の顧問に多いセリフですが、これ、まったくのデタラメです。そもそも部活で使う体力といわゆる勉強で必要な体力はまったく異なります。前者は大声を出し身体を動かすことが大切なのに対し、後者は声を出さず(ひとりでやる暗記物などは声を出すのもよい)動かすのは頭と指のみ。それ以外はひたすら座っていなければならない。いびつな体力ではありますが、学業はもちろんオフィスワークにも不可欠なこの能力。残念ながら激しい運動ではつちかえないのです。さらにいえば部活を熱心にやっていた子で切り替えがうまくできる子はそう多くありません。全中レベルや都道府県大会上位くらいのレベルの子だと切り替えも上手な子が多いのですが、普通もしくはそれよりやや得意といったレベルの子だとそこまでの切り替えはできません。3年の中体連でどこまで勝ち進むかわからないので、最後の飛躍のチャンスである塾の夏期講習にも参加ができない。それでいてスポーツ推薦がもらえるとか内申書に特記事項がつくわけでもない。プロをねらえるレベルでもないのに熱心に健気に部活に取り組んでいた子で、夏以降に自分を見失い、いつまでも現役の練習に口をはさみ、顧問に受験勉強するように言われたり(そのくせ具体的なアドバイスは一切ない)「これまでできなかったことを」と、街をぶらついてみたりゲームや動画視聴にいたずらに時間を費やしてしまうようになる子のなんと多きことか。さらにいえば彼らの多くは高校進学後(当然第一志望や第二志望の学校ではない)あれほど好きで好きでしょうがなかった競技をあっさりやめて別の部に入ったり、帰宅部員になったりしてしまう。結局メリハリなんですね。メリハリがない指導者のいる部はダメです。プロ予備軍でもない限りは。もちろん顧問の先生の中にはメリハリをしっかりつけて部員達に文字通りの文武両道を実現させるような素晴らしい先生もいらっしゃいます。そうした先生のもとでなら中3の夏まで部活を続けても大丈夫ですが、残念ながらそういった先生は私の知る限りでは少数派です。

部のことを調べておこう

 できれば事前に進学先の中学校のサッカー部がどういう方針かを調べておきたいところですね。ママ友のネットワークを使えばそのあたりの情報は容易に入手できることと思います。サッカー部の先輩部員の進学先などもわかればベターですが、変に個人的な情報を知ろうとするのも警戒されてしまいますので、そのあたりの情報は話したくて仕方がないようなお母さんが話しているときに耳を向けてゲットするくらいがいいかもしれません。
 昔は校庭も開放されていて日曜など2、3人でリフティングしながらボール回ししていると勝手に人が集まってきていつの間にか試合になったりしていたんですけどね。今はそんな環境は到底望めません。となるとやはり部活に所属することで思いっきりボールをけらせてあげたいところです。進学先のサッカー部の顧問の先生がよい方だといいですね。入学前の算数・数学の予習復習をして、よい形で入部し、勉強と部活の両立を決めてほしいものです。

回答は質問いただいた文面から推測できる範囲でアドバイスさせていただいたものです。 したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。 ・・・後藤 武士

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