教えて!ごとう先生
帰国子女って、どう?
子どもの勉強で頭を抱えているママたちへ。長年子どもたちを指導しているごとう先生が、すっきり解決してくれます!
後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧
~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。
Q. 帰国子女って、どう?
小学1年と幼稚園の女の子がいます。主人が1~2年後にアメリカへ転勤になることが決まっていて、現在娘たちを英会話教室へ通わせているところなのですが、そもそもついて行くのがいいのかどうか。娘たちを帰国子女にすることにあこがれもあるのですが、勉強面での不安もあります。先生のご意見をお聞かせください。
(HN:ファンタ)
A.ご自身の意志と覚悟で判断を
赴任先の環境をリサーチして
平成の夏も終わってしまいますね。健康志向と温暖化の影響でしょうか、近年はもっぱら機能性飲料が水分補給に用いられるようになりましたが、かつては蛇腹模様の250mlビンに入った毒々しいまでの原色も見事な炭酸清涼飲料水が喉の渇きをうるおしてくれたものでした。オレンジとかグレープとかアップルとか、でもなぜか「無果汁」なんて表示もあったりして、それも踏まえてファンタスティックでした。
さて娘さんたちのお話ですが。究極のところはご家庭の判断、もっと言ってしまえばファンタさんご自身の意志と覚悟にゆだねるしかありません。なんとなく迷ってはいらっしゃるもののある程度の方向性はすでに決められているようにお見受けしますが、ムダを承知で意見をのべてみましょうか。
私なら基本は当然家族同居です。かわいい盛りの娘さんはご主人の仕事の大きな励みになるでしょう。もちろん娘さんたちにとっても同様。ファンタさんご自身も同じお気持ちではないでしょうか。
そこでまずは大前提としてご主人の赴任先の環境をリサーチしてください。治安はどうなのか(もちろん日本より安全ということは期待薄ですが)。日本人居住者はどの程度いるのか。インタースクールはあるのか。居住予定地からの距離は? 交通手段は? もちろん現地の学校が多言語対応しているのなら、そちらに通学する手もあるでしょう。
アメリカという地域はスタンダードが期待できません。州や市はもちろんブロックひとつで居住環境、教育環境が大きく変わります。幸い現在はアメリカ本土ならインターネットを通じて大抵の地域の情報は入手できるでしょう。もちろんご主人より先に赴任されている方にうかがうことができれば文句なしです。今のアメリカの情勢を鑑みるによほど北か南の地域じゃないかぎり、大丈夫だとは思いますが。あとはまずはご主人に単身赴任してもらって、現地の生活を体験した上で、判断してもらうのもいいでしょう。その場合、9月の新学期には間に合わなくなってしまいますが、アメリカの場合、日本ほどクラスだのなんだののつながりが強いわけではないので、学期途中からの転校も大きなディスアドバンテージにはならないと思います。
勉強面での問題はない
学習面に関しては問題ないでしょう。以前なら不利になるケースが多かったのですが、グローバル化が加速する現在、もはや日本型の教育にかつてのような保証も力もありません。何より当の教育施行者たちが他国の情勢を見て入試はもちろん学校制度、さらには学習内容までも朝令暮改する始末。もはや努力や勤勉が年功序列や終身雇用とリンクして人生を保証してくれる時代は終わりました。日本の公教育には現在そこまでの力はありません。そしてさらに言えば、今後数年は主上も現場も右往左往することは目に見えている。そんな時期に渡米し現地での教育を受けることができるというのですから、それは願ったりかなったりだと思います。将来は帰国子女となる可能性が高いわけですが、帰国子女枠への実質的優遇も形式的優遇も衰える気配がみえません。その面でも心配は無用かと思います。
はじめにも同じことを申しましたが、最終的にはご自身の判断と覚悟です。ただ娘さんは小1と幼稚園ということですから、最悪なじめなくても日本に戻ることもできます。たぶん、ファンタさんがお考えの方向で間違っていないと思いますよ。よい決断になりますことを。
回答は質問いただいた文面から推測できる範囲でアドバイスさせていただいたものです。 したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。 ・・・後藤 武士