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熱血教育コラム 指南の部屋

やっぱりあるぞ読書感想文~バージョンアップで乗り切ろう~

子どもたちにとって「学ぶ」とはなにか。カリスマ講師・ごとう先生が「教育」について、わかりやすくママたちに語ります。

後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧

~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。

動機理由強調型読書感想文

20150715.jpg相も変わらずすっきりしない天気が続いている今日このごろ。そのせいか、どうも実感を伴わないけれど、夏休みはすぐそこまで迫っている。楽しいことばかりといかないのも世の定めで夏休みには宿題がつきもの。中でも毎年多くの子どもたちはもちろん親をも悩ませているのが読書感想文。それもそのはず。読書感想文という宿題をするには、まず読むという作業をする必要がある。そして読んだあとにまとめという作業があり、さらにそれを書くという好きな人以外には修行にしか思えない労苦が待っている。このあたりが他の宿題に比べて読書感想文の難易度を大いに上げている。さらに途中でやめると訳がわからなくなるので、ある程度まとまった時間を作って集中して取り組まざるをえない。作業でありながら機械的な進行と勢いで乗り切ることが不可能な恐るべき宿題、それが読書感想文だ。

今回はちょっと変わったタイプの読書感想文の書き方を紹介したい。その名も動機理由強調型読書感想文。「読書感想文は本の選択から始まっている」ということは以前にお話したことがあるが、今回はさらに一歩進んで、その選択の過程を感想文の中心に据えるのだ。その上で当初予想していた内容との一致やギャップ、想定内や想定外といったところをふくらませて記述する。

4つのメリット

このやり方にはメリットが4つある。まず「自分のことは語りやすい」ということ。本やそこに書いてあることより自分自身のことの方が比較的書きやすく書くことも多く見つけられる。ふたつ目にボリュームをもたせることができる。多くの感想文では分量を満たすため無理して感想をふくらませて不自然な記述をしてしまっているのだが、それが避けられるというわけ。次にこの手法、動機と理由を書くのだから志望理由書を書くためのトレーニングになる。高校受験、大学受験、そして就職と、これから先の人生で子どもたちは何度も志望理由書を書かねばならぬ機会に遭遇するだろう。この時点でシミュレーションできるというのは大きなアドバンテージだ。さらに言えば、この手法が有効なのは志望理由書にとどまらない。レビューや企画書にだって応用が効く。動機と選択過程の文章化という技術は磨いておいて損のない技術なのだ。そして、最後にちょっと変わった感想文になるので目にとまりやすいということ。ただし、古典的な考え方のセンセイには、必ずしもよい評価が得られない可能性もあるので、そこは自己責任で対応するように。

というわけで、今回は動機理由強調型についてお話したが、もちろん従来型で対応するのもありだ。従来型の書き方については、かつて皆さんの先輩向けにお伝えしたものがあるので、それをダイジェストで下に掲載しておく。楽しい夏休みになりますよう。

従来型読書感想文の書き方~ダイジェスト~

まずは自分にあった題材を選択する

まず、多くの子どもたちが間違っているのは「読書感想文は読むことから始まる」という認識。ちがうよ。実はその前に、そこから先の難易度や苦楽を大きく左右してしまう大きなステップがある。それが「題材選択」。つまり、どの本の感想文を書くのかってこと。

誰だって自分の不得手なジャンルの文章を読めと言われれば時間がかかるし、理解もできない。だから、まずは自分が読みやすくて書きやすい題材をセレクトすること。読書も文章も苦手な人は短いもの、興味あるテーマに関するものを選ぼう。

本を決めたら借りずに買おう!

次に、読むときは感想文作成のためにどこを参考にするか、探しながら読み進めること。蛍光ペンを片手に「おもしろいな」と思った所にはマーキングをする。

ということは、当然借りた本ではいけないということ。感想文を書くんだから、書き込みも必要、それに読み捨てはもったいない。普段は図書館でいいけれど、読書感想文用の本くらいは手元に置いておきたい。毎年1冊ずつ残せば、親子ともどもかけがえのない思い出と成長の証になるはず。

どうしても本を汚すのが嫌だという人は付箋を使おう。気に入った箇所があるページの片隅にぺたぺたと貼りつけて読み進めるとよい。

あらすじ 要約を書く

感想文を読む相手は必ずしもその本を読んでいるとは限らない。だから、その本のあらすじなり、まとめなりを書いて、どんな本なのかを紹介する必要がある。あらすじの場合は「いつ・どこで・誰と・誰が・何をして・どうなったか」を書けばいい。まとめの場合は「何に関する本か」を書けばいい。あらすじやまとめにはオリジナリティーは必要としないから、これで枚数が埋まるのであれば、感想文嫌いの子には朗報だろう。

(注:要約部分を不要とする指導者もいる。一般的には論文もレビューも要約は載せるものだが、中学生で内申点にかかる場合などは、担当の先生の方針を確認しておきたい)

感想も特に印象に残った部分を引っ張ってきてそこについて論じると案外楽にいける。そのために、読む段階でマーキングをしたはずだよね。

感想には必ず根拠となる理由がある

ここでは「引用」で枚数を稼ぐこともできる。「引用」というのはその本から文章を引っ張ってくること。ただし引用は必要最低限にとどめ、引用する箇所は「 」でくくること。もちろん「 」の中は勝手に文面を変えないように。「◎◎◎◎◎」とあったけれど、なるほどなあと思った。 なんて具合に書けばいい。

それから、感想には必ず理由を添えること。感想は好き・嫌いからはじまる。それにプラスマイナスの感情が加わる。ここでなぜ好きなのか、どうして悲しいと感じたのか、そういった理由をつけ加える。これにより、ただの日記と差別化をはかることができる。

さらにスパイスを効かせるのなら、「自分や身の回りに置き換える」というテクニックが使える。「主人公はこうしたけれど自分だったら違う方法を取っていたと思う」「この時代は大変だったんだなあ、それに比べると今は」など。

そして、将来の展望を書き添えればもう完璧だ。「この本を読んでこういうことに気がついた。これからはこんなことを心がけて生きていきたい」とか、「主人公のこんなところがすごかった。ぼくもこういう風になりたい」とかつけ加えられたら上できだろう。

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