• ようこそ ゲストさん
  1. HOME
  2. ライフスタイル
  3. 届かなかったラヴレター
  4. 届かなかったラヴレター2018受賞作品発表|今井雅子賞
「届かなかったラヴレター2018」今年も、たくさんの作品が寄せられました。
切ない気持ちや感謝の気持ち、大好きだったあの人への想い・・・
本当にたくさんの「愛」をいただきました。
その中から厳選され、審査員の心を揺さぶった感動の作品を発表します。
審査員賞
審査員賞

今井雅子賞

感王寺美智子 さん

お父さん、びっくりしました。あなたの仕業ですね。

「すごいのよ!庭中、彼岸花で真っ赤なの」母が、乙女のような弾んだ声で電話をかけてきました。写メ送って!と言うと、「写メの使い方、忘れちゃった」と、とぼけたことを言うのです。

実家へ帰ると、庭に、真っ赤に燃える彼岸花に埋もれる母がいました。
まるであなたに抱かれているように。
あなたが亡くなる前、庭中に植えたのですね。母さんへの最後のラブレターを。
母が、写メの使い方を忘れたと言ったのは、あなたを独り占めしたかったのでしょう。

伝えときましたよ。
「母さん、彼岸花は、毒あるし、地獄花とか死人花とか、不吉な花のように言われるけど、花言葉は『思うはあなた一人』っていうのよ」と。

コメント

お父さんが遺した最後のラヴレターは、庭一面の彼岸花。真っ赤に燃える花に抱きしめられ、乙女のように声を弾ませるお母さんが目に浮かびます。天国のお父さん見て微笑んでいる、そんな想像もかきたてられました。

  • 今井雅子
  • 今井 雅子(脚本家)

    コピーライターを経て脚本家に。映画作品に『パコダテ人』『子ぎつねヘレン』『ぼくとママの黄色い自転車』ほか。テレビ作品に朝ドラ「てっぱん」「昔話法廷」「おじゃる丸」(以上NHK)ほか。絵本『わにのだんす』、聞き手を務めた『産婆(さんばば)フジヤン』、故郷の大阪府堺市を舞台にした映画『嘘八百』(脚本:足立紳今井雅子)の小説版などの著作も手がける。最新刊『来れば?ねこ占い屋』(絵:吉田戦車 占:タナミユキ 文:今井雅子 猫監修:山本宗伸)6/12小学館より発売。
    (http://www.masakoimai.com)

    • 嘘八百昔話法廷
    • 賞 品

      書籍
      「嘘八百」
      「昔話法廷」

ページの先頭へ