届かなかったラヴレター
佐和子
切ない気持ちや感謝の気持ち、大好きだったあの人への想い・・・毎年、大切な人への思いを綴ったラヴレターを募集している「届かなかったラヴレター」。これまでご応募いただいた「届かなかったラヴレター」をご紹介します。
高校生の私と君。
まだ世の中がどんなもんなのかもわからずに、
ただ側に居たね。
複雑な家庭環境の私は
１人でご飯食べる事が多くて...
１人のご飯は面倒で
食べないで痩せた私の事を
いつも心配してくれたね。
『１人のご飯は味がわからないんだ。』
私は思わず君に話したんだ。
君はすかさず『なるべく俺と食べよう。』
って言ってくれて
その帰り道にｺﾝﾋﾞﾆで買った肉まんを
一緒に手をつないで歩いたね...。
君はぎこちなく左手で肉まんを持ち、
右手でしっかり私の手を握ってくれたね...。
あの時､涙が止まらない私。
初めて人前で泣いたから
涙の止め方わからなかったのかもね。
あの頃の私には君との毎日が全てでした。
その後､進学や就職で
お互いの心が離れてしまったね。
あれから10年後...
私のお腹には赤ちゃんがいて、
一生懸命ご飯食べてるよ...
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