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  4. 届かなかったラヴレター2017受賞作発表|三井昌志賞
「届かなかったラヴレター2017」今年も、たくさんの作品が寄せられました。
切ない気持ちや感謝の気持ち、大好きだったあの人への想い・・・
本当にたくさんの「愛」をいただきました。
その中から厳選され、審査員の心を揺さぶった感動の作品を発表します。
審査員賞
審査員賞

三井昌志賞

風の色 さん

「ハグしてくれる?」母の小さなその声は、今にも泣きだしそうに震えていた。
体調が悪くなり、老いていくことに急に不安になった75歳の母。
「もちろん~。いっぱいハグしてあげるよ」私は笑いながら王子様のように大きく手を広げ そして、老いた母の背中に手をまわし、ぎゅっと優しく抱きしめた。母と私の初めてのハグ。

私が子供の頃、甘えたくなって母のそばでべたべたすると 無器用な母は「気持ち悪いわね やめてよ。」と言った。
母に抱きしめられたい。甘えたい。そう思っていた小さな私。
でも、もう甘えるには小さすぎる老いた母の背中。
「私だって甘えたかったよ。ハグしてもらいたかったよ~」と小さな私が泣いているような気がした。
私は老いた母と小さな私を いつまでもいつまでも抱きしめた。

お母さんまたハグハグしてあげるからね。

コメント

親子関係って本当に難しいですね。あまりに長い時間一緒に過ごしたせいで、思ったことを素直に口に出せなくて、心の中と正反対の行動を取ったりする。そんなちぐはぐな愛情関係が、年を重ねるにつれてほぐれていく。子供が親を許す瞬間。それを鮮やかに描写していました。

  • 三井昌志
  • 三井昌志(写真家)

    1974年、京都市生まれ。アジアの辺境を旅しながら、「笑顔」と「働く人」をテーマに写真を撮り続けている写真家。旅した国は38ヶ国。著作に「写真を撮るって、誰かに小さく恋することだと思う。」「アジアの瞳」「スマイルプラネット」などがある。現在は、旅の経験を生かしたフォトエッセイの執筆や講演活動を精力的に行う一方、広告写真やCM撮影など、仕事の幅を広げている。
    (http://www.tabisora.com)

    • 渋イケメンの国
    • 賞 品

      写真集
      「渋イケメンの国」

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