教えて!ごとう先生
要旨をまとめる力をつけさせるには?
子どもの勉強で頭を抱えているママたちへ。長年子どもたちを指導しているごとう先生が、すっきり解決してくれます!
後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧
~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。
中学受験する予定の小6の男の子がいます。文章の要旨をまとめるのが苦手で、たった5?10行程度の短文でも、自分の言葉として置き換えることができません。要点をまとめ、所定の文章量に収めるコツを教えてください。よろしくお願いいたします。
(HN:ぺりこ)
要約に「発想」は不要! アレンジする力を養おう
●要約はあくまでも「作業」
ぺりこさん、はじめまして。ああ、これはもうぼくの得意ジャンルの一つですね。 要約についてお話すれば一冊の本になってしまうのですが(『これ一冊で国語読解力がつく本 入試対策編』という本で要約術を指南しています)、ここではざっと大まかなポイントだけお話しましょう。 まず正さなければいけない思い込みは「要約は作文である」というものです。「要約」とは「まとめ」です。「要点」を「集約」する作業です。今、あえて「作業」という言葉を用いました。これこそ要約の本質をついている言葉だと思います。●かえって自分の言葉に置き換えてはいけない
つまり要約に発想は不要なんですね。要約は創作ではない。ですから「自分の言葉として置き換える」というのは、実は要約ではやってはいけないことなのです。でも、ご安心ください。この勘違いはぺりこさんだけでなく、日本中の多くの児童・生徒・親御さん、さらには教育者が持っているものですから。多分発言を求められる際に「同じです」なんて言ってスルーするのを避けるために、「同じことでも自分の言葉で表現しなさい」なんて、先生が指導するあたりが遠因でしょう。 要約は作曲ではありません。編曲です。アレンジです。この意識を持つだけでもう要約の半分はクリアしたようなものです。●要約のポイントとは?
次に、要約の過程を一言で表現します。「探してくっつけて削って整える作業」、これが要約です。元の文章から必要な部分を探してくる。探してきたいくつかの部分をとりあえずくっつける。その上でだぶった箇所など不要なところは削る。そのままでは日本語として変でしょうから、助詞を置き換えるなどして整える。以上が要約の過程です。 この手順でやってもらえれば、少なくとも「手も足も出ない」ということはなくなるはずです。大サービスで「探す」ときのポイントをお話しておきましょう。最初と最後ですね。ここに重要なテーマや主題が述べられます。あとは繰り返し述べられる言葉。これはその文章のキーワードです。要約ですからもちろん繰り返すことはしません。具体例も文字数次第で削るとよいでしょう。●面倒に感じることが、苦手意識を生み出す場合もある
これできっと要約への苦手意識はなくなることでしょう。これでもまだ感じるとすれば、それは実は「面倒だなあ」という気持ちでしょうね。 ちなみに「『5~10行程度の短文でも』まとめることができない」とおっしゃっていますが、これまた多くの人がする思い違いです。短文というのはそれ自体もはやコンパクトなので、本来要約するには向いていないんです。そもそも要約した結果が短文になるわけですからね。 もっとも、長い文章だと読むことや探すことに手間がかかるので、その作業を面倒に感じてしまう。そしてそのことを「難しい」と思ってしまうのかもしれませんね。 「要約は作曲ではない、編曲だ。ダイジェスト版作成作業だ」「要約にオリジナリティーはいらない」「要約は探してくっつけて削って整えるという手順で行う」これだけ理解してもらえれば、よほどの難問以外は大丈夫でしょう。成果を期待しています。回答は質問いただいた文面から推測できる範囲でアドバイスさせていただいたものです。 したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。 ・・・後藤 武士