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届かなかったラヴレター

応募作品紹介~匿名

切ない気持ちや感謝の気持ち、大好きだったあの人への想い・・・毎年、大切な人への思いを綴ったラヴレターを募集している「届かなかったラヴレター」。これまでご応募いただいた「届かなかったラヴレター」をご紹介します。


 大学の頃、一つ上の学年に西川さんという先輩がいた。
彼が周囲と違うのは全盲だったこと。
最初、点字タイプを持つのを手伝ったのがきっかけで
いつしか兄弟のような関係になった。
先輩との思い出で忘れられないのは銭湯に通っている時のこと。
細い白杖だけを頼りに歩く先輩。
段差や溝に落ちても決して「助けてくれ」と言わない。
私は生きることが格闘であることをその時教わった。
手助けしようと思った私はその後は専ら恋や将来の悩みを先輩に相談し、
支えられながら学生生活を共有することになった。
 やがて、大学を出て久しぶりに先輩に会いたいなあと思った頃、彼の訃報を聞いた。
もっと一緒にいたかった。学生時代のお礼も言いたかった。それでも思うことは一つ。
たぶん先輩は天国の道でもたくましく白杖を共に歩いているだろうなあ。

「届かなかったラヴレター」次回の募集についてはキャリア・マムサイトやメルマガでお知らせします。 過去の受賞作品はこちらでご覧いただけます。

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