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届かなかったラヴレター

鈴木たもつ

切ない気持ちや感謝の気持ち、大好きだったあの人への想い・・・毎年、大切な人への思いを綴ったラヴレターを募集している「届かなかったラヴレター」。これまでご応募いただいた「届かなかったラヴレター」をご紹介します。


   百恵ちゃん
 あれは私が看護師になりたての
30年以上も前のことである。
私がつとめた大学病院の精神科病棟に
山口百恵さんを細くしたような
美人ナースがいた。
彼女と私はとても気が合う
というか仲良しだったが、
すでに私には妻が居た。
ある春の日、私は買ったばかりの新車で
彼女とドライブに出かけたまではよかったが、
私の車にはもう一人
監視役のおばさんナースが
一人乗っていた。
ドライブしたいと言ったのはおばさんナースで、
『私と百恵ちゃん(彼女の愛称)と
保さんの3人で、
保さんの新車でドライブしようよ』
がきっかけだった。
当時は山口百恵さんの絶頂期で
どこへ行っても
プレイバック・プレイバックだった。
 そして、
ついに彼女に私のラブレターは届かなかった。
あれから31年、私は2度も離婚したが、
彼女はどうしているだろうか。

「届かなかったラヴレター」次回の募集についてはキャリア・マムサイトやメルマガでお知らせします。 過去の受賞作品はこちらでご覧いただけます。

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