届かなかったラヴレター
春本 真里
切ない気持ちや感謝の気持ち、大好きだったあの人への想い・・・毎年、大切な人への思いを綴ったラヴレターを募集している「届かなかったラヴレター」。これまでご応募いただいた「届かなかったラヴレター」をご紹介します。
「指輪」
「受けとれないよ、この指輪。
だって、嘘になる。なぜ? そうでしょう?
あなたは私の、元彼の友達。
友達思いの、あなたの事だから。
私と一緒にいればいる程、元彼への遠慮で、
あなたは苦しむ。
元彼への嫉妬で、あなたは傷つく。
目に見えている。だから、バイバイ」
別れた。その夜、泣きながら本心を綴った。
「本当は、あなたじゃなきゃ、駄目。
でも、さようなら。
私を『弱い奴』、と、
笑う人がいるかもしれない。
でも、これが本当の『強い愛』、と、
分かってもらえる日が、きっと来る。
本当は、愛している、あなだだけを」
書き終わって、ポストの前へ。
でも、出さなかった。
一晩、眠れなかった。
翌朝、手を震わせ、ポストに、コトン。
3日後、郵便がきた。
私の書いた手紙、そのまま戻ってきた。
「あて所に尋ねあたりません」
15才の春。
隣の中学だった元彼の友との、恋の思い出。
アルバムを整理していたら、出てきた手紙。
玩具の指輪の淡い恋人でした。
「届かなかったラヴレター」次回の募集についてはキャリア・マムサイトやメルマガでお知らせします。 過去の受賞作品はこちらでご覧いただけます。