届かなかったラヴレター
鈴城 琴音
切ない気持ちや感謝の気持ち、大好きだったあの人への想い・・・毎年、大切な人への思いを綴ったラヴレターを募集している「届かなかったラヴレター」。これまでご応募いただいた「届かなかったラヴレター」をご紹介します。
初恋の君へ
すきとおる朝。
私は、はずむような白い息をはく。
人気のない通学路を、
私は急ぎ足で歩いた。
いつもの時間。良かった。ジャスト。
交差点をよこぎってくる、
君の横顔が見えた。
じょじょに私の、歩くスピードダウン。
私の少し前を、君が歩いている。
君のひろい背中を見つめていると、
私の心ぞうは、かってにたかなった。
片思いって、こんなものなのかな。
学校ではじめて目が合った時、
君の笑顔にひとめぼれして。
高くも低くもない、
あたたかな君の声を、さがして。
ぐうぜんの早朝の出会いに、
かけをするような気もちで毎日、
目ざましをかけて。
自転車で来ていたのに。
今は歩いてとうげこう。
少しだけ私に、幸せをくれませんか。
朝の校門を、すぎるまで。
「届かなかったラヴレター」次回の募集についてはキャリア・マムサイトやメルマガでお知らせします。 過去の受賞作品はこちらでご覧いただけます。
