教えて!ごとう先生
中学受験を迷う娘
子どもの勉強で頭を抱えているママたちへ。長年子どもたちを指導しているごとう先生が、すっきり解決してくれます!
後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧
~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。
Q. 中学受験を迷う娘
小6の娘は今まであこがれの中高一貫教育の学校へ進学するために勉強してきました。私たち親も、ひとり娘の希望をかなえるために学費を貯めてきました。現在のところ成績に問題はなく、受験をすれば受かると言われています。しかし、あと1年となった最近、娘は受験を迷うようになりました。とても仲のよい友だちと離れることになるからです。「離れても友だちであることにかわりはない」と言っても気がかりらしく、勉強に身が入らなくなってきました。このままあきらめるのはもったいないけれど、本人の気持ちを尊重させるべきでしょうか。
(HN:マッシュルーム)
A.勉強は続けて、進路はあとで考えて
今までと同じように学び続けよう
学力や経済力などが原因であこがれの学校への進学を断念せざるを得ない子や親が多い中、マッシュルームさんのお悩みはある意味ぜいたくなお悩みですね。しかしながら、はたから見るとぜいたくな悩みというのは、客観的な価値観と主観的な価値観の相違に基づくものが多く
、それゆえに相談もしにくく、自分で考えても堂々巡りに陥りやすく意外に解決に手間取るものです。お役に立て
るかはわかりませんが、思うところを書かせていただきます。
まずやるべきことは現在の学習を続けること。「受験をすれば受かる」と言
われるレベルに達しているのなら、すでに学習は苦痛ではなくなっているはずです。それどころ
か知的好奇心を満足させ発見を与えてくれる楽しみにすらなっていることでしょう。中学受験に
向けての学習は高校受験にも使えますし、中学での学習にも役立ちます。もちろん実社会においても。
ゆえにスポーツや芸術などの習い事との両立のようなケースならともかく、友情と学習は背反関係にはなく、共存しうるので何も気にすることなく学び続ければよいと思います。
その上で受験をするかしないかの選択、さらには中高一貫へ進学するか、地元の公立小の子たちがそのまま進学する公立中に進学するかと決断があるのですが、これはもう少し先のこと。なぜならまだ5年生を修了したばかりだからです(文面には小6とありますが当然新学年のことですよね、でなければ質問自体が成立しませんから)。
進学先を決めるのは、まだ先のこと
学年が変われば取り巻く環境も微妙に変わります。クラス替えがあればつきあう友だち
にも変化が起きます。現在とても仲のよい友だちと距離ができたり、一方で趣味趣向の変化
に伴って新たな友だちもできたりするはずです。また新たに受験を志して表明したり、中学
からの部活に備えて特定の競技のクラブ活動に身を入れ始めたりする子も増えます。異性へ
の思いなどから、同性より異性とのつきあいを優先する子も少しながら現れてきます(男子
でそういう子が出てくるのはもう少しあとになりますが)。つまり今の友だちが友だちではな
くなるわけではないが、関係性には変化が生じるということです。したがって5年修了の
現時点で特定の友だちとの関係を念頭に自分の将来を考えてもあまり意味がありません。
これから目標としている学校の文化祭だの塾外模試も増えてきます。そうする
と今まで目立たぬようにしていた中学受験組同士の出会いも増えます。思わぬところで思わぬ級友と
出会い意気投合するとか。夏以降中学受験の情報は一般の小6に向けてもどんどん流れてくるよう
になります。そのとき一足早く断念を決めていたら淋しい思いをするかもしれません。
というわけで、まずはこれまでどおり学習を継続しましょう。大丈夫、そんなことで友情はくずれません。そして最終的にどこへ進学するかの決断は、まだ先でいい。6年になっ
て新たなクラスで新たな生活を送って、新たな友人関係が形成されてからでいい。その時にどちらで
も思う方に決めることができるために今は学習を継続してください。
回答は質問いただいた文面から推測できる範囲でアドバイスさせていただいたものです。 したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。 ・・・後藤 武士