教えて!ごとう先生
塾の教科選択
子どもの勉強で頭を抱えているママたちへ。長年子どもたちを指導しているごとう先生が、すっきり解決してくれます!
後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧
~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。
Q. 塾の教科選択
4月から中学3年生になる息子がいます。塾に通っているのですが、数学の授業は取っていません。ママ友から高校入試の数学の問題は難しいと聞き過去問を見たら息子にできるのは計算問題くらいだと思いましたし、息子自身も塾のお試し期間に受けた数学の授業が難しすぎたため取りたくないと言ったので、取らないままでした。しかし、塾から中学3年からは取ってほしいと言われました。理由は、生徒全員が取っているため、息子だけ取っていないのは......ということです。ここで足なみをそろえないと塾で息子は困るのではないか、でも塾の授業についていけないのもかわいそうだしと決められないでいます。どうしたらいいのでしょうか。
(HN:第一子に右往左往)
A.個別でフォローしてもらえるなら受講してみては
お試しが難しいなら授業についていけない
難しいところですね。通っていらっしゃる塾がどういう形態の塾でどういうシステムを採用しているのかわからないのでなんとも言えませんが、「お試し期間に受けた数学の授業が難しすぎた」というところから判断すると、一斉授業形式の塾でしょうか。であるならば、新規の生徒獲得のためにやさしく(優しくも易しくもある)やることの多いお試し授業でさえ難しいと感じたならば、本科の一斉授業にはついていけないと思います。特に中3は受験対策のためにいくらか前倒し気味に進めますから。因数分解、平方根、二次関数、円、やはり単元を思い出しても2年時までの履修事項との関連性が強いものが多いですね。
科目以外のサービス部分に魅力があるかも
というわけで普通ならば数学は履修してもお客様になってしまうから、と受講しないことをおすすめしたいところです。が、プラスアルファを考慮すると一概にお客さんになるくらいなら......とも言い切れない部分があります。
それは授業料や正式にうたってあるサービスに含まれない部分です。たとえば正規授業以外の定期テスト直前対策や教室開放、あるいは予想プリントの配布など。さらには内申対策として塾の正規の授業では取り扱わない実技のペーパー対策なんかも。本音レベルの進路指導や受験相談、学校では手に入りにくい情報の提供などもそうですね。推薦対策や作文・小論文指導、それに面接対策、こういったものは大手ですとオプションでそれ相応の価格をとって実施しますが、中小や個人塾の場合、価格外サービスで行われるケースがほとんどです。
これらの科目を離れた受験に有効なサービスは中1、中2でも実施されますが、受験生である中3生に与えられるサービスのボリュームは、塾によっては下手をすると本科の授業をしのぐレベルにさえなりえます。で、こういうサービスに必要なコストを維持するために多くの塾では中3の授業料を少々高めに設定しているんですね。もちろんその分、授業時間も増えていたり補講の数も多くなったりしているのですが。
コース受講だとサービスを受けやすい
さて、ここで問題になるのは単科受講の場合だと、こうしたサービスを受けにくいということなんです。息子さんが遠慮がちな性格なら気後れしてしまうこともあるでしょう。塾の側も、善意で単科の受講生に対してコース受講の生徒さんと同じサービスを提供してしまうと他の生徒さんや親御さんからクレームを受けるおそれや、日程や時間調整の難しさから、サービス提供しづらい、あるいはできないということになりがちです。
たとえが適当かどうかわかりませんが、ドリンクバーやサラダバーのあるファミレスを思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれません。特定の科目は受講しないというのはセットメニューではなく単品で注文するようなものです。私個人は単品派なのですが、単品を注文する以上、セットに無料でついてくるドリンクバーだのサラダバーだのは有料で別途頼まねばならなくなるということです。
数学には早めに対処を
以上をふまえて大雑把に方針をまとめますと、授業以外に特にサービスの提示がない場合は数学は受けなくて問題ないでしょう。もし定期テスト対策や面談などが充実している塾ならば、時間と費用との兼ねあいで決めるとよいでしょう。授業外サービスの内容が、数学の授業料を負担し理解できない授業に参加することに見合うかどうか。
数学を受講するにあたって事情を説明し場合によっては個別フォロー(有償無償の両ケース)も依頼できるかを聞いてみるのもいいかもしれません。それが可能であれば、一番しっくりおさまるような気がします。
数学という科目はいずれにせよ受験に対して逃げが効かない科目です。計算問題の比重はおおむね20%。残りの8割を白紙では他の教科の得点がどんなに高くても取り返すのは容易ではありません。場合によっては個別を併用してでも早いうちに手をつけておいてくださいね。
回答は質問いただいた文面から推測できる範囲でアドバイスさせていただいたものです。 したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。 ・・・後藤 武士