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教えて!ごとう先生

公立小学校と私立小学校の違いは?

子どもの勉強で頭を抱えているママたちへ。長年子どもたちを指導しているごとう先生が、すっきり解決してくれます!

後藤 武士 先生:1967年(昭和42年)岐阜県生まれ。青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライブ「GTP」主宰として、北海道より沖縄・石垣島まで、児童、生徒、父母、講師、教師、会社員を対象に講演。また新進気鋭の若手教育評論家、最強教育指南役としても活躍中。 ⇒オフィシャルサイト ⇒後藤武士先生 著書一覧

~後藤先生メッセージ~
実現可能で、子どもの性格・適正にあった経験的な裏付けをもった学習法を指導したいと思っています。ときには厳しいことも申し上げますが、すでにご定評いただいている救いのあるアドバイスを心がけます。夢を妄想としてしまうのではなく、 数年後の姿とできるよう、一緒にがんばりましょう。

qa080319.gif幼稚園年中の娘がいます。
ご近所には、私立小学校に通っているお子さんがいるのですが、公立小学校と比べて、どこが違うのでしょうか?
今年の春には年長になりますので、これからのことについて、少しずつ考えていけたら、と思っています。よろしくお願いします!

(HN:さくら)


公立・私立の選択は、子ども・地域環境・家庭環境の総合判断で。

●公立小学校の方針や校風は千差万別
 さくらさん、はじめまして。サクラをめでるという一年に一度のお楽しみが近づいてきたことを思い出しました。と、脱線はいけませんね。本題へ。

 単刀直入に言えば、公立は何でもアリです。本来、「公」が運営しているわけですから、私立に比べて決して高くは望めないけれど、最低限のスタンダードは保証してくれるというのが公立であるべきなのですが、実際は必ずしもそのようにはなっていません。昨今のお役所にまつわるニュースをみていてもわかることですが、学校というのはさらに一種の治外法権的な性質を兼ね備えておりますので、(たとえば学校に物申す上級機関である教育委員会は教員OBによってかなり占められているため、純粋な意味での監視・監督機関とはなりえていない自治体が多いようです) 自治体や学校、校長や教頭の方針資質能力の具合次第でとにかくありとあらゆるタイプの学校になってしまうのが現在の公立です。

 裏を返せば私立以上に優れた教育(何を持って優れたといってよいかは人ぞれぞれですが)が行われている公立小学校も全国的にみれば決して少なくはありません。しかしもう一方で、授業すら成立しない公立小学校もまたかなり多く存在しています。ですから公立というのはある意味、運次第だと言えなくもありません。 たまたまそのときの校長の教育方針、校風が自分の子に合っていればそれは最高の学校になるでしょうし、そうでなければきつい思いをすることもある でしょう。これが公立です。

●バラエティに富んだお友だちに出会えるチャンス
 公立のメリットとして、さまざまな子どもさんが通っているということが挙げられます。親の職業も千差万別(もっとも地方では官僚や作家の子どもなどあまりいないでしょうが)ですし、親の所得層もまちまちです。したがって、いわゆる社会勉強という点では公立での生活に軍配が上がります

公立では、成績がよいなどといったことは、必ずしもメリットにはなりません。まわりから浮いてしまうと下手をするとイジメの対象になりますから、(私自身は嫌いな言葉ですが)いわゆる「空気を読む」ということに関しては、それ相応に敏感になります。いたずらに空気を読むことはすすめられませんが、この経験をよい方向に生かせば他者への配慮や心配りができるようになるかもしれません。いわゆる「世間知らず」にはなりにくい環境といえるでしょう。ただしそれだけに(親にとって)良い色にも悪い色にも染まる可能性があるのが公立です。メリットとしてもうひとつ、 近所のお友だちが多くなるという点も挙げられます。放課後も気軽に遊べますので自主性も育ちやすくなりますよね。

●安定志向の私立
 一方で私立ですが、こちらは本来私立なのだからさまざまなスタイルがあってよいことになりますが、むしろ現状では逆に、 一定の教育レベルを保証してくれるのが私立であるように思えます。公立ならばあまり費用がかからない(あえて無料とは言いません)のにあえて私立を選択する親御さんたちですから、親の所得レベルもそれなりですし、職業に関してもある程度限定されてくるでしょう。

 また、私立はそれぞれの校風や教育方針というものがそう簡単にゆるぎません から(それ自体が親との契約のようなものですから、安易に変えることはできません)公立のように校長が変わったからといって校風が変わるということもありません。ある程度教育に関して決まった価値観をお持ちの親御さんにとっては、安心して子どもを通わせることのできる環境ではあると思います。子どもさんの教育レベルも一定の枠内に収まりますので、授業が成立しないとか、自分の子どもにとって授業がやさしすぎるとか難しすぎるということも少なくなるでしょう。浮いてしまうことへの配慮というのもあまり必要ではなくなります(私立にもイジメはありますが)。

 言うまでもないことですが、系列校を持つ私立では受験の心配がなくなりますし、一貫した教育を受けることもできます。系列が途絶えてしまう私立でも、受験指導には熱心ですし、推薦枠も多く確保していますから、学力育成という点では無理やり試験に合格したような子でなければ、さほど心配しなくてよいでしょう。また 私学独自の語学教育や伝統芸能教育、マナー教育なども必要性を感じられている親御さんにとってはメリットのあるものです。

 一般的に私立は高いといわれていますが、中学受験にかかる費用を考えると一概にそう言い切ることもできません。もっとも高校まで公立に行かせたいとか、できれば大学も国公立で、とお考えの場合の事情は異なります。

●地域・家庭・子どもを軸にした総合判断が必要
 おすすめは子どもさんが通われることになるかもしれない公立について、まず詳しい人たちからお話を聞くことです。その際、周辺の他の公立についても聞いておくとよいでしょう(公立は先生の転勤がありますし、荒れる学年などは同一自治体内で数年ごとに巡回する傾向があります)。その上で子どもさんが比較的コミュニケーションが得意で、おうちの所得レベルや職業などにも特異性が少なく、ご近所のお子さんたちともうまくコミュニケーションがとれているようでしたら、公立をおすすめします。逆におうちが開業医をなさっていらっしゃるとか、お父様が上場企業の幹部クラスであるとか、ご商売が軌道に乗っていてまわりの方々より比較的裕福な生活をされているようであれば、私立も検討されてよいかもしれません。もちろん子どもさん自身も一定の学力レベルをお持ちであったほうがよいでしょう。

 背伸びして私立に入ることはあまりおすすめしません(私立というのは学習面において、公立とは別の意味で放任主義であることが多いのです)。子どもさんがまわりのお友だちと遊ぶより本を読むことが好きで、既に小学校中学年向けの本を読んでいるとか、英語の学習などに夢中で一定の成果があるようであれば、公立だともてあましてしまうかもしれませんから私立も手だと思います。私自身はいわゆるオタク系の子や学者肌の子には私立をおすすめしています。

 いずれにせよ、子どもさん次第ですし、地域次第ですので、前もってよく調べられるとよいでしょう。有意義な一年になりますように。

回答は質問いただいた文面から推測できる範囲でアドバイスさせていただいたものです。 したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。 ・・・後藤 武士

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