デジタルまめ知識
見えないけれど甘く見てはいけない「ブルーライト」
最近、ある自治体が「仕事や勉強以外のスマートフォンやゲーム機器などの使用を1日2時間以内」とする条例案を発表し話題を呼びました。この案には「小学生は午後9時、中学生以上は午後10時までをスマホ利用の目安」とし、十分な睡眠時間を確保することも盛り込まれています。
今回はこれらの情報機器が発する「ブルーライト」が人体にどのような悪影響を与えているかを改めて考えてみたいと思います。
「なぜ目によくないのか」をおさらいすると
ブルーライトは青色の光として視覚的に捉えることはできませんが、波長が短く、なおかつ光が強いため網膜に届きやすい性質をもちます。眼精疲労やドライアイを引き起こすだけではなく、光を見続けることで刺激となって交感神経が優位になり、睡眠や集中力に悪影響をおよぼします。もちろん市販のブルーライトカットメガネやスクリーンに貼る専用シートなどは目の負担軽減に役立ちますが、完全に防げるわけではありません。また、条例が示すように「利用時間を制限する」ことも負担軽減のための選択肢のひとつです。もはやブルーライトは、現代の老若男女共通の健康問題を作り出しているといっても過言ではありません。
昔のテレビはブルーライトが出なかったのか
実は昔のブラウン管テレビでも、少量ながらも青色蛍光体からブルーライトは出ていました。しかし当時は画面が暗く、インターネットもなかったため、今よりもブルーライトを浴びる機会は格段に少なかったのです。
現代社会は仕事や学習、娯楽の多くがさまざまなディスプレイを通じて行われ、画面も鮮明になったことで子どもも大人も長時間強い光を浴びる環境にあります。今回の条例案が子どもだけに限定していなかったのも、社会全体の働き方やライフスタイルに直結しているからではないでしょうか。
ダークモードは目を守れるか
最近のスマホ等は画面のベースが暗色で文字色が白系統で表示される、いわゆる「ダークモード」機能を搭載している機種が増えてきました。これは発光量を減らして表示するため、目に対して一定の軽減効果があるといわれています。
また、子どものころ「暗いところでテレビを見たり本を読んだりするのはよくない」と言われた経験はありませんか。就寝数時間前からブルーライトを浴びない環境を整えることも、結果的に良質の睡眠時間の確保につながることを意識しましょう。
生活習慣を見つめなおす契機に
今回はスマートフォンやゲーム機器などの使用時間等が条例案に盛り込まれたということで話題となりましたが、賛否はともかくとして、情報機器の適切な利用を怠ると学習や業務の効率低下につながったり、生活習慣や健康を脅かしたりすることになりかねない、という危機感を改めて考えるいい契機といえるでしょう。つい目の前の画面に夢中になって時間を忘れ、凝視しつづける生活行動を極力減らし、適切に使いこなせるようになりたいものです。
【著者】
あきまつ
編集・ライター。一児の母。WEB制作周りに興味を持ったのは約20年前。日々進化する新しい技術とドタバタ子育てに悪戦苦闘しながら、おはようからおやすみまで暮らしを見つめています。

