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デジタルまめ知識

「改正プロバイダ責任制限法」とは?

010723.jpg「誹謗中傷による罰則が強化されました」→(http://www.c-mam.co.jp/career/digital/e/010037.php) でも取り上げたように、先日「侮辱罪」に対する罰則が強化されましたが、2022年10月1日からは「改正プロバイダ責任制限法」が施行されました。こちらも昨今急増するインターネットトラブルを適切・迅速に対処するための方策のひとつとして「プロバイダ責任制限法」を見直したものです。

旧法の「プロバイダ責任制限法」

各種SNSで誹謗中傷を受けて被害に遭い、その発信者を相手取って損害賠償請求などの手続きをする際は、まず匿名の発信者を特定することから始まります。氏名や住所、メールアドレスなど、発信者に関する情報開示を求めるには、該当のSNS運営組織等とインターネットサービスプロバイダ(接続事業者、プロバイダと略されることが多い)それぞれに手続きをおこなうため、合計3度の裁判手続きが必要でした。

二段階の情報開示を簡略化

旧法はまず、誹謗中傷などが掲載されているSNS運営組織(サイトを管理している組織など)に投稿時のIPアドレスの開示を求め、そしてそのIPアドレスをもとにプロバイダに対して発信者の情報開示を求める、という流れでした。
長い手続きの間に記録が消去されてしまうおそれがあることや、増え続けるSNSトラブルに迅速に対応できないとの理由から、改正法では二段階で開示を求める方法のほかに、一度の申し立てで同時に手続きを行える方法を追加したのです。

法改正が意味するもの

そのほか、今までは投稿時のIPアドレスのみだった開示範囲が、条件によってはログイン時のIPアドレスまで広がったため、発信者の特定につながる証拠が増えたこと、発信者情報の消去禁止を求める命令も出るため、証拠がより保全されやすくなった――など、従来より解決までの道のりがぐっと短くなる可能性が高まりました。

「侮辱罪」の罰則強化や今回の法改正の意義の中には、SNSによる誹謗中傷で心を傷める人がこれ以上増えないようするための抑止力の意味合いも当然含まれています。実名でも匿名でも、発言は全世界の人が見ていることを意識しながら慎重におこないたいものです。

参考:総務省ホームページ

「インターネット上の違法・有害情報に対する対応(プロバイダ責任制限法)」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/ihoyugai.html

「プロバイダ責任制限法Q&A」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/ihoyugai_04.html

また2022年10月1日には、改正プロバイダ責任制限法が施行される予定です。
改正後の発信者情報開示請求では、SNS上での権利侵害への被害者救済の実効性を高めることを目的として、
1 発信者情報開示命令の新設
2 開示請求を行うことができる範囲の見直し
などがなされます。

1は、現行法では、発信者情の報開示までに、一般的に、2度の訴訟手続きを経る必要があるところ、法改正によって、1度の非訟手続による発信者情報開示を実現することで、発信者特定までのスピードアップを狙うものです。
2は、投稿時点の投稿者のIPアドレスやタイムスタンプを取得せず、ログイン時にのみこれら情報を取得・保有するログイン型サービスがSNSの主流であることを踏まえ、現行法では、対象範囲に当たるかの判断が分かれているログイン時情報を、改正法では開示範囲に含めることで、発信者特定の可能性アップを狙うものです。

法律的・技術的な話はさておき、今回の改正で、
・より早く投稿者が特定できるようになる
・主にSNS上の誹謗中傷・侮辱的投稿について、投稿者を特定できるケースが増える
というイメージを持っていただければよろしいかと思います。

ブランディングの観点では、侵害情報の1日も早い削除が大切です。長年の努力で育て上げた企業ブランドは、発信者に対する損害賠償請求や刑事罰によって取り戻すことのできない、貴社の重要な経営資源だからです。

【著者】
あきまつ

編集・ライター。一児の母。WEB制作周りに興味を持ったのは約20年前。日々進化する新しい技術とドタバタ子育てに悪戦苦闘しながら、おはようからおやすみまで暮らしを見つめています。

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